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38-369 ヌキモチテ タケルガムネオ
抜き持ってタケルの胸を
38-370 サシトホス タケルガイワク
一刺しにした。その時タケルが、
38-371 イマシハシ ツルギトトメヨ
「今暫し剣をそのままにしてくれ。
38-372 コトアリト マテバナンヂハ
言いたいことがある」と言った。コウス皇子が次の言葉を待つと、
38-373 タレヒトゾ スメラキノコノ
「汝は何者なのだ」。「スヘラギの子の
38-374 コウスナリ タケルマタイフ
コウスという者だ」。タケルは言葉を続けた。
38-375 ワレハコレ クニノツワモノ
「我は、このように、国の強者で
38-376 モロヒトモ ワレニハスギズ
誰も我に敵う者がいず
38-377 シタガエリ キミノコトクニ
みな我に従ってきた。君のような
38-378 モノアラス ヤツコガササグ
者はいなかった。やつがれが奉げる
38-379 ナオメスヤ キミキキマセバ
名を使ってはいただけないだろうか」コウス皇子が承知すると、
38-380 イマヨリハ ヤマトタケトゾ
「今よりヤマトタケと
38-381 ナノラセト イイツオワレバ
お名乗り下さい」と言って息を引き取った。
38-382 ヤマトダケ オトヒコヤリテ
ヤマトタケはオトヒコを遣って
38-383 トモガラオ ミナウチヲサム
一族をみな討伐した。
38-384 ツクシヨリ フナヂオカエル
筑紫から、船路で帰る途中
アナトキビ ワタリアラフル
吉備のアナト辺りで無法者を
【アナトキビ】 この後本文394に「キビノアナト」と出てくるので、吉備(広島・岡山)の「アナト」とし、関門海峡・長門の国ではないと考えるが、「アナト」の場所は不明。
モノコロシ ナミハカシハノ
討伐した。浪速のカシハの
【ナミハカシハ】 前項同様、「ナミハノカシハ」なので浪速の「カシハ」となり、「カシハ」は大和川下流に柏原市があるが、場所は不明。
モノヤカラ ミナコロシヱテ
無法者もみな討伐して
【モノヤカラ】 「者輩」と読めるが、後に「アフレモノ」とあるので「無法者」と意訳した。
38-388 フソヤホノ キサラギハツヒ
二十八年二月一日に
38-389 マキムキノ ミヤコニカエル
纏向の都に帰った。
38-390 ヤマトダケ モフスカタチハ
ヤマトタケは討伐の様子を君に申し上げた。
38-391 スメラギノ ミタマニヨリテ
「君の御加護によって
38-392 クマソラオ ヒタニコロシテ
熊襲達を徹底的に討伐して
38-393 フツクムケ ニシハコトナク
悉く平定し、西の国は問題がなくなりました。
38-394 タタキビノ アナトナミハノ
ただ、吉備のアナトや浪速の
38-395 カシハタリ アシキイキフキ
カシハ辺りは、悪い者が我が物顔にしており、
38-396 ミチユクモ ワサハヒモトム
道行く人に害を与える
アフレモノ ウミトクガトノ
無法者がいましたが、海も陸も
【ウミトクガトノ ミチヒラク】 「ウミ」(海)に当たるのが「ナミハカシハ」、「クガ」(陸)に当たるのが「アナトキビ」。
38-398 ミチヒラク トキニスメラギ
安心して通れるようにしてきました」。それを聞かれた君は
38-399 クニムケノ イサオシホメテ
国々を平定した功績を称賛し
38-400 タマモノナシキ      
褒美を賜った。