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38-109 ツツガカヤ オホノタケモロ
よからぬことが起きているからだろうか」とオホのタケモロと
38-110 キノウナデ モノベナツハナ
紀のウナデと物部ナツハナの
38-111 コノミタリ ヤリテカタチオ
三人に様子を見に
38-112 ミセシムル カンカシヒメハ
行かせた。その地の長の
38-113 ヒトノカミ ミツカヒキキテ
カンカシ姫は君の使者が来ると聞いて、
38-114 シヅヤマノ サカキオヌキテ
シツ山の榊を抜いて
38-115 カンツヱニ ヤツカノツルギ
上の枝に八束の剣、
38-116 ヤタカガミ シモマガタマヤ
中の枝に八咫の鏡、下の枝に勾玉を掲げ、
38-117 シラハタオ トモヘニカケテ
白幡を船の艫と舳先に掲げて
38-118 ワガタグヒ タガハズアメノ
「我国の者は、君に叛くことなく、君の
38-119 メグミエン タタソコナフハ
恵を受けたいと思っています。ただ、騒ぎを起こしているのは
38-120 ハナタレガ ミダリマタガリ
ハナタレで、好き勝手に勢力を広げ
38-121 ナオカリテ ウサニタムロシ
名が通っているのをいいことに、宇佐にたむろして
38-122 ナリヒビク マタミミタレモ
力を誇示しています。また、ミミダレも
38-123 ムサホリテ タミオカスムル
貪欲に民の物を奪い取って
38-124 ミケガワヱ マタアサハギモ
ミケ川の上流にいます。また、アサハギも
38-125 トモアツム タカハカワマタ
タカハ川で仲間を集めています。また
38-126 ツチオリト ヰオリモカクレ
ツチオリとヰオリも隠れていて、
38-127 ミトリノノ カワサカタノミ
ミドリ野の川や坂を利用して
38-128 カスメトル ミナカナメヂニ
民の物を奪っています。彼らはみな根城に
38-129 アツマリテ オサトナノルオ
集まっています。長と名乗る者がいるので
38-130 ウチタマエ トキニタケモロ
討ちとってください」と訴えた。そこで、タケモロは
38-131 ハカラヒテ アカキヌハカマ
一計を案じて、赤布の袴を
38-132 ヒキデモノ ヒキテアサハギ
土産として持っていって、アサハギを
38-133 メシヨセテ コレニヒカセテ
呼び寄せた。これにつられて
38-134 モロクレバ フツクコロシテ
長たちが来たので皆殺しにした。
38-135 ミユキシテ トヨノナガオニ
君は更に行幸して、豊の国のナガオに
38-136 カリミヤコ メツキニイタル
仮の都を造った。十月に
38-137 ハヤミムラ ヲサハヤミツメ
ハヤミ村に着いた。長のハヤミツ姫は
38-138 ミユキキキ ミツカラムカエ
君が行幸されたことを聞くと、自ら迎え出て
38-139 モフサクハ ネヅガイワヤニ
申し上げた。「ネズの岩屋に
フツチクモ ナハアオクモト
二人の土蜘蛛がいて、名は青蜘蛛と
【ツチクモ】 ハタレと同じような賊の頭の名前。
38-141 シラクモト ナオリネギノニ
白蜘蛛といいます。ナヲリネギ野に
38-142 ミツチクモ ウチサルトヤタ
三人の土蜘蛛のウチサルとヤタと
38-143 クニマロト コノヰツチクモ
クニマロがいて、五人の土蜘蛛は
38-144 トモカラノ チカラツヨキオ
仲間の中でも力の強い者を
38-145 アツメオク アナガチメサバ
集めています。無理やり呼べば
38-146 イクサセン ココニスメラギ
戦いになることでしょう」ここに至って君は
38-147 ススミヱス クタミノムラノ
軍を進めることができず、クタミの村の
38-148 カリミヤニ ハカリテイワク
仮宮で対策を練って
38-149 モロウタハ クモラオソレテ
「みなで一斉に攻撃すれば、蜘蛛たちは恐れて
38-150 カクレント ツバキオトリテ
逃げてしまうだろう」と言われた。椿の木を伐って
38-151 ツチトナシ タケキオエラミ
槌にして、勇猛果敢な者を選び
38-152 ツチモツテ ヤマオウガチテ
槌で山道を切り開き
38-153 クサオワケ イワヤノクモオ
草を分けて攻め入り、岩屋の青蜘蛛と白蜘蛛を
ウチコロス イナバカワベハ
討ち殺した。稲葉川辺は
【イナバカワベ】 大分県竹田市の飛田川に九州電力稲葉川取水口見張所として名が残っているので、漢字で表した。
38-155 チタトナル マタウチサルオ
血の海となった。またウチサルを
38-156 ウタントテ ツハキイチヨリ
討とうとツハキイチから
38-157 ネギヤマオ コストキアダガ
ネギ山を越そうとした時、敵が
38-158 ヨコヤイル アメヨリシゲク
横から矢を射掛けてきた。雨より激しく矢を射掛けてきたので
38-159 ススミエズ キワラニカエリ
進むことができなかった。キワラに帰り
38-160 フトマニミ ヤタオネギノニ
フトマニで占い、ヤタをネギ野で
38-161 ウチヤブリ ココニウチサル
討ち破った。とうとうウチサルは
38-162 クタリコフ ユルサズユエニ
降参してきたが、許さなかった。そのため
38-163 クニマロモ タキエミオナゲ
クニマロも滝に身を投げ、
38-164 コトゴトク ホロビヲサマル
全て土蜘蛛は滅び、戦いは収まった。
ソノハジメ カシハオノイシ
はじめにフトマニで占った時、
【ソノハジメ】 「ソノ」が何を指すのかが分かりにくいが、この文に続く「スヘラキイノリ」や「カエモウデ」という言葉から、土蜘蛛たちを退治するためにフトマニで占をしたときのことと解釈した。