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よからぬことが起きているからだろうか」とオホのタケモロと
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紀のウナデと物部ナツハナの
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三人に様子を見に
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行かせた。その地の長の
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カンカシ姫は君の使者が来ると聞いて、
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シツ山の榊を抜いて
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上の枝に八束の剣、
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中の枝に八咫の鏡、下の枝に勾玉を掲げ、
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白幡を船の艫と舳先に掲げて
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「我国の者は、君に叛くことなく、君の
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恵を受けたいと思っています。ただ、騒ぎを起こしているのは
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ハナタレで、好き勝手に勢力を広げ
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名が通っているのをいいことに、宇佐にたむろして
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力を誇示しています。また、ミミダレも
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貪欲に民の物を奪い取って
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ミケ川の上流にいます。また、アサハギも
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タカハ川で仲間を集めています。また
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ツチオリとヰオリも隠れていて、
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ミドリ野の川や坂を利用して
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民の物を奪っています。彼らはみな根城に
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集まっています。長と名乗る者がいるので
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討ちとってください」と訴えた。そこで、タケモロは
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一計を案じて、赤布の袴を
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土産として持っていって、アサハギを
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呼び寄せた。これにつられて
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長たちが来たので皆殺しにした。
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君は更に行幸して、豊の国のナガオに
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仮の都を造った。十月に
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ハヤミ村に着いた。長のハヤミツ姫は
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君が行幸されたことを聞くと、自ら迎え出て
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申し上げた。「ネズの岩屋に
二人の土蜘蛛がいて、名は青蜘蛛と
【ツチクモ】 ハタレと同じような賊の頭の名前。
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白蜘蛛といいます。ナヲリネギ野に
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三人の土蜘蛛のウチサルとヤタと
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クニマロがいて、五人の土蜘蛛は
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仲間の中でも力の強い者を
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集めています。無理やり呼べば
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戦いになることでしょう」ここに至って君は
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軍を進めることができず、クタミの村の
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仮宮で対策を練って
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「みなで一斉に攻撃すれば、蜘蛛たちは恐れて
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逃げてしまうだろう」と言われた。椿の木を伐って
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槌にして、勇猛果敢な者を選び
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槌で山道を切り開き
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草を分けて攻め入り、岩屋の青蜘蛛と白蜘蛛を
討ち殺した。稲葉川辺は
【イナバカワベ】 大分県竹田市の飛田川に九州電力稲葉川取水口見張所として名が残っているので、漢字で表した。
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血の海となった。またウチサルを
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討とうとツハキイチから
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ネギ山を越そうとした時、敵が
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横から矢を射掛けてきた。雨より激しく矢を射掛けてきたので
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進むことができなかった。キワラに帰り
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フトマニで占い、ヤタをネギ野で
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討ち破った。とうとうウチサルは
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降参してきたが、許さなかった。そのため
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クニマロも滝に身を投げ、
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全て土蜘蛛は滅び、戦いは収まった。
はじめにフトマニで占った時、
【ソノハジメ】 「ソノ」が何を指すのかが分かりにくいが、この文に続く「スヘラキイノリ」や「カエモウデ」という言葉から、土蜘蛛たちを退治するためにフトマニで占をしたときのことと解釈した。