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39-057 イトマコヒ キミノオオセニ
暇乞いをした。君の命令で
39-058 アタウチニ マカルトアレバ
敵を討ちに行くと聞いて、
39-059 ヤマトヒメ ニシキフクロト
ヤマト姫は錦の袋と
39-060 ツルギモチ ヲミコニイワク
剣を取り出し、ヤマトタケに話した。
39-061 アメミマコ ソメシヒミツノ
「錦の袋の中は、ニニキネの尊がお書きになった『火水土』の
39-062 ヲンハラヒ ヒミヅノサワリ
御祓いの文です。これで『火水土』の災いを
39-063 ハラフベシ ムカシイヅモノ
祓いなさい。昔、ソサノオ尊が出雲の
39-064 クニヒラク ムラクモツルギ
国を拓いた時に得た叢雲の剣が
39-065 コレナルゾ ツツシミウケテ
これです。慎んで受けて
39-066 アダムケヨ ナオコタリソト
敵を平定しなさい。くれぐれも油断されませんように」
39-067 サヅケマス サキニタジマガ
と、ヤマトタケに授けた。以前タジマモリの
ノコシフミ クニソマザレバ
遺した文に「国が治まらなかったので
【ノコシフミ】 37綾本文218にある「ノコシフミ」と同じもの。
39-069 カグノキオ ヱントオモエバ
香久の木を得ようと思い
タチバナノ モトヒコガヤニ
タチバナのモトヒコの家に
【タチバナ】 カグキミのこと。カグモトヒコ。
39-071 トシフリテ ナジミテメグル
長く逗留し、日高見の慣わしを身に付けました。そして訪ねた
39-072 ヒタカミト シマツノキミニ
日高見と島津の君と
39-073 アヒシリテ ヤヤヱテカグオ
知り合いになり、やっと手に入れた香久の木を
39-074 ヒカヌマニ キミカミトナル
持ち帰る前に君は亡くなってしまいました。
39-075 チチクヤミ イマワカミヤニ
大変残念に思い、今は若宮に
39-076 タテマツル キミヤツカレガ
香久の木を奉ります。君は、我と
モトヒコニ ムスブシヅクノ
モトヒコが深い縁で結ばれた
【ムスブシヅクノ ミナモト】 「ムスブシヅク」は「結ぶ雫」と読み、二人の結びつき、関係の深さを表し、「ミナモト」は元になった出来事、すなわち、先君イクメイリヒコが世の中の平安を願って香具の木を探しに行かせたという経緯と解釈した。
39-078 ミナモトオ オボシテホヅマ
経緯をお考えになって、ホツマの国を
39-079 シロシメセ ココニスメラギ
お治めください」と書かれていた。君は
39-080 タケウチト カタリアワセテ
タケウチと相談して
39-081 ホヅマクニ カグモトヒコオ
ホツマの国のカグモトヒコを
39-082 ミニナシテ タチバナヒメト
味方にし、ヲトタチバナ姫と
39-083 ホヅミテシ サクラネマシオ
ホツミテシとサクラネマシを
39-084 サキニヤリ イクサクダレバ
先遣として行かせ、軍をホツマへと下らせた。
ヒタカミガ マネクモトヒコ
日高見がモトヒコを招いたが、
【マネクモトヒコ】 日高見のミチノクとシマツミチヒコは、日高見とヤマトの双方に通じるモトヒコに善後策の相談をしようとしたのだろうか。
39-086 ウナヅカズ サガムノオノニ
モトヒコは断り、相模の小野に
39-087 シロカマエ テシトマシラト
城を構えテシとマシとで
39-088 モリカタム ヱミシノヤカラ
守りを固めた。蝦夷の一族が
39-089 セメノボル スソノニデアフ
攻め上って来た。裾野で出会った
39-090 ヤマトダケ ヱゾラアザムキ
ヤマトタケを蝦夷達は騙して
ノノシカガ イキキリタチテ
「野にいる鹿が暴れまわって
【イキキリタチテ】 「イキキリタツ」が分かりにくい。「キ」が一つ多いが「イキリタツ(熱り立つ)」(怒りを抑えきれず興奮する)と読んだ。
39-092 フミシダク シモトユヒシテ
道を踏み荒らしてしまいましたが、細い立木に紐を結んで
39-093 ミチオシル ノゾミメグリテ
道が分かるようにしました。野をお回りになって
39-094 カリタマエ キミハゲニトヤ
鹿狩を楽しんでください」と言った。ヤマトタケは「それは面白い」と
39-095 ユキモトム アダノオヤキテ
野に入って鹿を探した。敵は野に火を放って
39-096 アザムケバ シリテキリヒノ
罠に掛けたが、気付いたヤマトタケも切り火を切って
39-097 ムカイヒニ ヒミツノハラヒ
迎え火とし、火水土の祓いを
39-098 ミタビノル コチフキカワリ
三度唱えた。すると風向きは東風に変わり
39-099 ニシケムリ アダニオフエバ
西の方に煙が流れ、敵を覆った。
39-100 クサオナグ モエクサトビテ
そこで、剣で草を薙ぐと、燃えている草が飛んで行き、
39-101 アダイクサ ヤキホロボセバ
敵軍を焼き滅ぼした。
39-102 ヤケヅノヤ ツルギノナオモ
その地は焼津野と呼ばれるようになった。剣の名も
39-103 クサナギテ アシガラヤマニ
草を薙いで敵を倒したので草薙の剣と呼ばれた。ヤマトタケは足柄山に
39-104 セメイタル サカムノオノノ
軍を進めた。相模の小野の
39-105 シロセメオ カタクマモレバ
城を蝦夷が攻めてきたがモトヒコは堅く守っていた。
39-106 アタヤカラ ヨモニタキギオ
そこで敵の者達は四方に薪を
39-107 ツミアゲテ ナソカヒデリニ
積み上げて、何日も日照りが続いた上に
39-108 ヒセメナス カワキモユレバ
火攻めを仕掛けてきたので、一帯は乾き燃え上がった。
39-109 ヤマトダケ ヤグラノタケニ
ヤマトタケが矢倉岳に
39-110 ノボリミテ キビタケヒコオ
登ってその様子を見て、キビタケヒコの軍を
39-111 オオイソエ オオトモタケヒ
大磯の方から回らせ、オオトモタケヒの軍を