ホツマツタヱ 全行現代語対訳

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16-000

16

妊娠中に慎むことと、イワタ帯の綾

16-001

二十五スズ百枝二十八穂

16-002

サミトの年のことである。カシマの宮には

【カシマノミヤ】 タケミカツチの宮のこと。

16-003

ヒトリ姫がいたが、息子はいなかった。

16-004

カシマの宮のタケミカツチはカトリの宮に

16-005

行った。フツヌシが迎えて

16-006

挨拶を終え、宮に入ってから

【トコト】 家の戸口で挨拶することか、「訪う言葉」か、いずれにしても挨拶のこと。

16-007

訪れたわけを話した。「ご存じのように

16-008

私には娘が一人いますが、跡取りがいません。

16-009

カスガ殿の息子のアマノコヤネ命は

16-010

世に秀でて、カスガノカミと

16-011

称え名を賜っています。願わくば

16-012

カンツキミにアマノコヤネ命と姫との仲人を

【カンツキミ】 13綾本文009に「カトリカンキミ」とあり、フツヌシへの敬称。

16-013

お願いしたいのですが」。フツヌシが答えた。

16-014

「我の甥のワカヒコには、先ごろ

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勅使として来たとき、境迎えをして

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はじめて会いました。それ以来

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親しくしております。このたび、貴殿の

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子とできるならば、我も甥を自分の

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子のように思っているので、喜んで仲人をいたしましょう」。

16-020

日高見に遣わした使者から、君オシホミミが認めると答えたという

【シカニコタエテ】 「シカ」を「ヲシカ(使者)」と「シカ(然・そのように)」の二つの意味が掛けられていると解釈した。

16-021

報告を聞いて、フツヌシとタケミカツチは一緒に

16-022

ナカクニのカスガの宮に出向いた。

16-023

アマノコヤネの父ココトムスビに

16-024

願い出、承諾してもらった。その後、アマテルカミの宮に上り

16-025

三人で、結婚の許しを伺うと

16-026

アマテルカミが詔を下され、許しが出たので

16-027

挨拶をして、二人はそれぞれ

16-028

自分の国へ帰った。ココトムスビは

16-029

占いをし、吉日を選んで結婚式を

16-030

執り行った。結婚の祝いを終えて

16-031

二人は仲睦まじく暮らし、アマノコヤネはアマテルカミに

16-032

仕えた。そのうちにヒトリ姫も

16-033

身籠ったということをアマテルカミに報告すると

16-034

カミは、コモリにヒトリ姫を

16-035

訪ねさせた。ヒトリ姫がコモリに会って

16-036

出産についての教えを願うと、

【ミハタ】 御機。このホツマツタヱの16綾も、「ミハタの十六」という。「第16章」と言えよう。この場合は出産に関する教えということ。

16-037

コモリは「我でさえ、姫のご夫君に

16-038

教わったのです」と言った。ヒトリ姫はそれに対して

16-039

「そんなことございませんでしょう。夫に聞けば

16-040

『自分もまだ深くはわからないので、誰かに聞きたいと

【アヂ】 「味」の意味する「体験して得た感じ」に通じる意味合いとした。

16-041

思っている』と申しております。どうしてよいのか分からないので

16-042

どうぞ教えてください」と言った。以下がコモリの話した

16-043

ミタネ文である。「天地がまだ

【ミタネフミ】 「ミタネウムミハタ」と同じ。妊娠中の心得の書かれた文書。これをもとに話したのであろう。

16-044

分かれる前、アメミヲヤの初めの一息が

16-045

丸く巡っていました。水と油のように

16-046

メとヲが分かれて、ヲが先に上って

16-047

天になりました。メはその後下っていって

16-048

大地の泥になりました。それが土と水に分かれて

16-049

土は山に、水は海になりました。

16-050

ヲのウツホは風となって動き

16-051

火を産み出しました。ヲの三元素は

16-052

日輪となって、天に近いところを巡り